2018年度(平成30年度) 学部?短期大学部?大学院学位記授与式
3月20日、静岡市駿河区のグランシップで、学部?大学院、短期大学部の合同学位記授与式を開催しました。
学部卒業生618名、短大部卒業生135名、大学院修士?博士前期課程修了生83名、大学院博士後期課程修了生19名、計855名が学位記を受け新たな道を歩みだしました。
卒業生を代表し、国際関係学部の原田京香さんが「4年間の大学生活で、情報に流されずに物事を考える力が身についた。これからは、これらに関わって下さったすべての人に感謝しながら、学んだことを生かしていきたい」と力強く語りました。それを受け鬼頭足球365比分_365体育投注-直播*官网が、「大学で学んだことを生かして、これからも社会のためにみんなと力をあわせて活躍してほしい」とエールを送りました。
学部卒業生618名、短大部卒業生135名、大学院修士?博士前期課程修了生83名、大学院博士後期課程修了生19名、計855名が学位記を受け新たな道を歩みだしました。
卒業生を代表し、国際関係学部の原田京香さんが「4年間の大学生活で、情報に流されずに物事を考える力が身についた。これからは、これらに関わって下さったすべての人に感謝しながら、学んだことを生かしていきたい」と力強く語りました。それを受け鬼頭足球365比分_365体育投注-直播*官网が、「大学で学んだことを生かして、これからも社会のためにみんなと力をあわせて活躍してほしい」とエールを送りました。
式典の様子
卒業生代表答辞
足球365比分_365体育投注-直播*官网式辞
足球365比分_365体育投注-直播*官网 鬼頭 宏
本日、静岡県立大学から618名、静岡県立大学短期大学部から135名が卒業されました。また大学院から修士83名、博士19名、合計102名が修士並びに博士の学位を授与されました。晴れて卒業証書、学位記を授与される皆さん、誠におめでとうございます。2年、3年、4年、6年と、それぞれ課程において所定の単位を取得し、一定の能力を認められたわけです。また様々な資格を取得された方も多いでしょう。それぞれの持てる力と資格を武器にして、大いに世界で活躍されることを願っています。
ご臨席のご家族、保証人の皆様、これまでお育てなさったご子弟が独り立ちするこの日を迎えられて、お喜びもいかばかりかと、お祝い申し上げます。
また、川勝県知事様、渥美県議会議長様を始めとするご来賓の皆々様におかれましては、年度末のお忙しい中、若者の学舎からの旅立ちをお祝い下さるために駆けつけてくださいました。誠に光栄に存じますとともに、日頃、本学の教育研究を支えてくださっておりますことに対して、教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
私は4年前、静岡県立大学足球365比分_365体育投注-直播*官网として着任いたしました。学部を4年で卒業する皆さんとは、同期生という立場です。同期生として嬉しいことは、4年前に入学した、一人の障害を持った学生が順調に単位を取得して卒業されることです。ご家族や友人たちの助けを得て、車椅子で通学し、みなさんと一緒に卒業します。今後は得意な語学力を活かした仕事をしたいと聞いています。その学生の存在は、周囲の学生に、どんな困難にも負けることなく、希望を達成しようとする勇気を与えたことと思います。心からご卒業をお祝いいたします。
さて、私は、この4年間に二つの幸運に恵まれました。第一は、2017年に本学が創立30周年を迎えたことです。それまでの静岡県立薬科大学、女子大学、短期大学が統合されたのが、1987年でした。知事はよく、論語を引き合いに出して、「三十にして立つ」と言われます。自己の確固とした立場をもって揺るがず、自立するという意味です。この言葉は人間だけではなく、組織についても当てはまるのではないでしょうか。本学は、県民のための大学として社会に貢献してきたと自負していますが、これからの30年、地域の大学としてどのような人材を育て、産業、経済、福祉に貢献していくべきかが、あらためて問われています。
二つ目は、未だ記憶に新しいことですが、前理事長であらせられた本庶佑先生が、昨年12月にノーベル生理学?医学賞を受賞されたことです。本庶先生は現在、本学の顧問を務められ、また静岡県で働く医師の養成や社会健康医学の構築に関わる仕事をされています。本庶先生のノーベル賞受賞は我々にとって誇りであるとともに、とても大きな励みになったことと思います。
本庶先生がよく書に認められる言葉に「有志竟成」と言うことばがあります。意志がありさえすれば、ついには、ことは成る、と言うのでしょうか。裏返すなら、何かを実現するためには、強い意志が必要だ、と読むこともできるでしょう。今、時代は大きく変わりつつあります。まさにこのような状況のもとで、人の意識や意志が改めて問われているように思います。
イスラエルの大学教授で歴史家のユヴァル?ノア?ハラリも、人の意識すなわち、自分のいまある状態や、周囲の状況を注意深く認識することの重要性を強調しています。ハラリは『ホモ?デウス』という本を書いています。私にとって、昨年、最も印象に残った本です。現生人類をラテン語で「ホモ?サピエンス」といいます。道具や文字を用いる、「賢い人間」です。ところがこれからは、遺伝子工学やAIなどの技術によって、もっともっと高い知能と大きな力を持つようになり、創造者、すなわち神のような存在に近づくだろう、というのです。それがホモ?デウスです。しかしそのような未来社会では、一握りの超人に対して、大多数の人々は機械やAIに仕事を奪われて「無用者階級」になるだろうとも警告しています。
そうならないようにするには、生涯を通じて学び続けて自己を刷新し、変化を前向きに受け入れていくこと、そうして強靭な精神力を涵養しなければならない、とハラリは答えています。つまり強い意志や意識の涵養が必要だと主張しているのです。
昨年11月、中央教育審議会は「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」と題する答申を文科大臣に提出しました。そこでは、今年生まれた子供が大学を卒業する頃の2040年をどのように捉えているでしょうか。そこで描かれるのは、第4次産業革命による新しい時代(Society 5)への移行、グローバリズムの拡大と地方創生の実現、SDGs(持続可能な開発目標)の達成、人生100年の時代とされています。答申では、これから起きる大きな変革を理解し、実践する能力を持った人材の育成が求められています。2040年といえばみなさんはまだ40歳代前半の働き盛りです。みなさんには、これからの社会を支える重要なメンバーであることを意識して、社会を先導していただきたいと願っています。
県立大学は5年前に、文部科学省の支援を受けて、地(知)の拠点、いわゆるCOC事業として、『ふじのくに「からだ?こころ?地域」の健康を担う人材育成拠点』に全学をあげて取り組んできました。地域を知るために「しずおか学」を設けて必修科目とし、静岡市、牧之原市など行政とも提携して、地域を活性化する人材育成に力を注いできました。その結果、昨年初めて、コミュニティ?ワーク力を身につけたと認定された学生諸君に対して、「コミュニティ?フェロー」の称号を付与することができました。
今年も、132名の学生諸君にコミュニティ?フェローの称号を差し上げることができました。また、特に秀でた活動を行った学生10名を特別表彰することになりました。一人ひとりの名前は挙げませんが、薬学部の学生は禁煙に関する支援を行ったり、あるいは禁煙アドバイザー育成講習会を開催したりしました。本学では来月4月1日より全面的に禁煙とし、スモーク?フリー?キャンパスが実現しますが、その原動力になったと言えるでしょう。また地域防災や一次救命救急活動、健康増進活動、メディシェフ?アンバサダー活動、海外での難民支援活動に携わった諸君がいます。
三保に伝わる羽衣の伝説を各国語の絵本にして全県の諸学校に配布し、能「羽衣」の普及活動を4年間、継続して行った学生、地域コラボプロジェクトや若者の社会参画を促進する活動にリーダーとして従事した学生、大学生による個店や地域産業のコンサルティング活動に力をふるった学生が含まれています。
いま、一部の大都市圏を除いて、多くの地域で人口減少が進んでいます。その結果、地域経済が衰退し、地域の文化も失われて、地域における生活が立ち行かなくなるのではないかとの懸念があちこちで囁かれています。
しかし私は全く悲観していません。静岡だけではありません。いま全国各地で、地域を活性化する人材育成に力を入れています。少しでも地域に関心を持ち、ましてやコミュニティ?フェローとして認定された若者がいる限り、心配はいらないと信じています。どの地域でもいい。働く場を得たところで、あるいは家庭を築いたその場所で、それぞれの地域を大切にしてください。そしてそれぞれの地域の中で、良い関係を築き、他の人々とともに、他の人々のために支え合いながら生きる社会をつくってください。
静岡県立大学が誕生してから32年間に、学士 14,898名、修士 3,373名、博士 748名、短期大学士 7,235名、総合計 26,254名の卒業生、修了生を輩出しました。規模の大きな私立大学と比べるなら、決して大きな数ではありません。しかしそれだからこそ、卒業生同士が結束して知恵と力を合わせていただきたいと願っています。そして卒業後も、大学を頼ってください。何なりと相談し、あるいは提案していただきたいのです。
未来を創るのは皆さんです。オレンジ色の校章に描かれているのは霊峰富士とこれから羽ばたこうとする若鳥です。富士のように高い目標に向かって、力強く羽ばたいて下さい。大きな夢を持って、それを実現すべく、努力してください。みなさんの巣立ちを祝福し、輝かしい未来を祈念いたします。
ご臨席のご家族、保証人の皆様、これまでお育てなさったご子弟が独り立ちするこの日を迎えられて、お喜びもいかばかりかと、お祝い申し上げます。
また、川勝県知事様、渥美県議会議長様を始めとするご来賓の皆々様におかれましては、年度末のお忙しい中、若者の学舎からの旅立ちをお祝い下さるために駆けつけてくださいました。誠に光栄に存じますとともに、日頃、本学の教育研究を支えてくださっておりますことに対して、教職員を代表して厚く御礼申し上げます。
私は4年前、静岡県立大学足球365比分_365体育投注-直播*官网として着任いたしました。学部を4年で卒業する皆さんとは、同期生という立場です。同期生として嬉しいことは、4年前に入学した、一人の障害を持った学生が順調に単位を取得して卒業されることです。ご家族や友人たちの助けを得て、車椅子で通学し、みなさんと一緒に卒業します。今後は得意な語学力を活かした仕事をしたいと聞いています。その学生の存在は、周囲の学生に、どんな困難にも負けることなく、希望を達成しようとする勇気を与えたことと思います。心からご卒業をお祝いいたします。
さて、私は、この4年間に二つの幸運に恵まれました。第一は、2017年に本学が創立30周年を迎えたことです。それまでの静岡県立薬科大学、女子大学、短期大学が統合されたのが、1987年でした。知事はよく、論語を引き合いに出して、「三十にして立つ」と言われます。自己の確固とした立場をもって揺るがず、自立するという意味です。この言葉は人間だけではなく、組織についても当てはまるのではないでしょうか。本学は、県民のための大学として社会に貢献してきたと自負していますが、これからの30年、地域の大学としてどのような人材を育て、産業、経済、福祉に貢献していくべきかが、あらためて問われています。
二つ目は、未だ記憶に新しいことですが、前理事長であらせられた本庶佑先生が、昨年12月にノーベル生理学?医学賞を受賞されたことです。本庶先生は現在、本学の顧問を務められ、また静岡県で働く医師の養成や社会健康医学の構築に関わる仕事をされています。本庶先生のノーベル賞受賞は我々にとって誇りであるとともに、とても大きな励みになったことと思います。
本庶先生がよく書に認められる言葉に「有志竟成」と言うことばがあります。意志がありさえすれば、ついには、ことは成る、と言うのでしょうか。裏返すなら、何かを実現するためには、強い意志が必要だ、と読むこともできるでしょう。今、時代は大きく変わりつつあります。まさにこのような状況のもとで、人の意識や意志が改めて問われているように思います。
イスラエルの大学教授で歴史家のユヴァル?ノア?ハラリも、人の意識すなわち、自分のいまある状態や、周囲の状況を注意深く認識することの重要性を強調しています。ハラリは『ホモ?デウス』という本を書いています。私にとって、昨年、最も印象に残った本です。現生人類をラテン語で「ホモ?サピエンス」といいます。道具や文字を用いる、「賢い人間」です。ところがこれからは、遺伝子工学やAIなどの技術によって、もっともっと高い知能と大きな力を持つようになり、創造者、すなわち神のような存在に近づくだろう、というのです。それがホモ?デウスです。しかしそのような未来社会では、一握りの超人に対して、大多数の人々は機械やAIに仕事を奪われて「無用者階級」になるだろうとも警告しています。
そうならないようにするには、生涯を通じて学び続けて自己を刷新し、変化を前向きに受け入れていくこと、そうして強靭な精神力を涵養しなければならない、とハラリは答えています。つまり強い意志や意識の涵養が必要だと主張しているのです。
昨年11月、中央教育審議会は「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」と題する答申を文科大臣に提出しました。そこでは、今年生まれた子供が大学を卒業する頃の2040年をどのように捉えているでしょうか。そこで描かれるのは、第4次産業革命による新しい時代(Society 5)への移行、グローバリズムの拡大と地方創生の実現、SDGs(持続可能な開発目標)の達成、人生100年の時代とされています。答申では、これから起きる大きな変革を理解し、実践する能力を持った人材の育成が求められています。2040年といえばみなさんはまだ40歳代前半の働き盛りです。みなさんには、これからの社会を支える重要なメンバーであることを意識して、社会を先導していただきたいと願っています。
県立大学は5年前に、文部科学省の支援を受けて、地(知)の拠点、いわゆるCOC事業として、『ふじのくに「からだ?こころ?地域」の健康を担う人材育成拠点』に全学をあげて取り組んできました。地域を知るために「しずおか学」を設けて必修科目とし、静岡市、牧之原市など行政とも提携して、地域を活性化する人材育成に力を注いできました。その結果、昨年初めて、コミュニティ?ワーク力を身につけたと認定された学生諸君に対して、「コミュニティ?フェロー」の称号を付与することができました。
今年も、132名の学生諸君にコミュニティ?フェローの称号を差し上げることができました。また、特に秀でた活動を行った学生10名を特別表彰することになりました。一人ひとりの名前は挙げませんが、薬学部の学生は禁煙に関する支援を行ったり、あるいは禁煙アドバイザー育成講習会を開催したりしました。本学では来月4月1日より全面的に禁煙とし、スモーク?フリー?キャンパスが実現しますが、その原動力になったと言えるでしょう。また地域防災や一次救命救急活動、健康増進活動、メディシェフ?アンバサダー活動、海外での難民支援活動に携わった諸君がいます。
三保に伝わる羽衣の伝説を各国語の絵本にして全県の諸学校に配布し、能「羽衣」の普及活動を4年間、継続して行った学生、地域コラボプロジェクトや若者の社会参画を促進する活動にリーダーとして従事した学生、大学生による個店や地域産業のコンサルティング活動に力をふるった学生が含まれています。
いま、一部の大都市圏を除いて、多くの地域で人口減少が進んでいます。その結果、地域経済が衰退し、地域の文化も失われて、地域における生活が立ち行かなくなるのではないかとの懸念があちこちで囁かれています。
しかし私は全く悲観していません。静岡だけではありません。いま全国各地で、地域を活性化する人材育成に力を入れています。少しでも地域に関心を持ち、ましてやコミュニティ?フェローとして認定された若者がいる限り、心配はいらないと信じています。どの地域でもいい。働く場を得たところで、あるいは家庭を築いたその場所で、それぞれの地域を大切にしてください。そしてそれぞれの地域の中で、良い関係を築き、他の人々とともに、他の人々のために支え合いながら生きる社会をつくってください。
静岡県立大学が誕生してから32年間に、学士 14,898名、修士 3,373名、博士 748名、短期大学士 7,235名、総合計 26,254名の卒業生、修了生を輩出しました。規模の大きな私立大学と比べるなら、決して大きな数ではありません。しかしそれだからこそ、卒業生同士が結束して知恵と力を合わせていただきたいと願っています。そして卒業後も、大学を頼ってください。何なりと相談し、あるいは提案していただきたいのです。
未来を創るのは皆さんです。オレンジ色の校章に描かれているのは霊峰富士とこれから羽ばたこうとする若鳥です。富士のように高い目標に向かって、力強く羽ばたいて下さい。大きな夢を持って、それを実現すべく、努力してください。みなさんの巣立ちを祝福し、輝かしい未来を祈念いたします。
理事長あいさつ
理事長 尾池 和夫
2018年度、静岡県立大学大学院博士後期課程、博士課程を修了した19名の方々、博士前期課程、修士課程を修了した83名、5学部を卒業した618名、短期大学部卒業の135名の方々、修了、卒業、まことにおめでとうございます。
公立大学法人の役員、列席の足球365比分_365体育投注-直播*官网、副足球365比分_365体育投注-直播*官网、学部長、教職員とともに、皆さんのご卒業を心からお祝いいたします。あわせてご家族の皆様にも、こころからお慶び申し上げます。
多くの方たちが、栄養士、教員、保育士、環境計量士などの免許を取得され、全員に近い方々が就職先を決め、あるいは進学先を決められています。また、薬剤師、管理栄養士、看護師、保健師、助産師、歯科衛生士、介護福祉士の国家試験受験資格を獲得されています。
現在までに、静岡県立大学を卒業した方たちは世界の各地で、また日本の各地で活躍しておられます。皆さんも、その卒業生に仲間入りをして、これからはこの大学を母校として、後輩の成長も見守っていただきたいと願っています。同時に皆さんのこの母校は、また母港でもあります。ときには世界の航海から修理のために帰港する母港でもあってほしいと思います。
これからの社会は生涯学習の時代を迎えます。AIが発達して多くの仕事は機械が上手にこなしますが、人でなければできない仕事がいつになっても必ず存在します。その社会の変革に対応するためには、この生涯学習の仕組みが重要な役割を果たします。そのための母港でもあるのです。母港ではいつでも、皆さんの帰港を待って、生涯学習に対応できるように、これからも仕組みを整えて行きたいと思っています。
皆さんの中には近い将来、看護師、薬剤師、管理栄養士などとして医療関係で働く方がたくさんおられます。そこで、私は自分自身の最近の経験をお話ししたいと思います。今年2月4日、私は京都大学病院の消化管外科に入院して、鼠径ヘルニアの手術を、へそからカメラを入れ、その両側の穴からマジックハンドで手術するという体験をしました。全身麻酔で手術中の3時間半は意識なしですが、その前後にはさまざまなことを観察し学習しました。4日間で退院して次の日には東京へ出張して講演をするということが可能でした。また、退院後体重が増えて、しだいに心房細動が激しくなり、ついには3月8日、早朝に救急外来から入院して、心不全の治療をするという体験をしました。病院の中を行き来し、さまざまな仕事の人たちと話していて、デザインの重要性を認識することがたくさんありました。病院内の殺風景な景観を体験して、ホスピタルアートの重要性をつくづく感じる機会を持つことができました。
この県立大学には、まだホスピタルアートの考え方が浸透していないように思います。これから、このような新しい分野も、取り入れて行きたいと思っています。今日卒業して病院で仕事する皆さん方も、その仕事の中で、常に患者を観察し、患者のためにどうすべきかということを考え、提案してほしいと思います。
卒業式の機会に、静岡新聞の記事から、皆さんが入学してからの4年間のニュースを、「静岡県立大学」のキーワードで検索してみました。
「県立大学薬学部発祥地に記念碑」という薬学部100周年の記念碑の除幕式の記事が、2017年3月17日の朝刊にありました。葵区鷹匠3丁目の歩道にこの薬学部創設100周年記念碑が完成して、その除幕式が行われたというものです。鬼頭宏足球365比分_365体育投注-直播*官网は「静岡女子薬学校は、女子の高等教育が一般的でなかった当時に、最先端の知識を伝える場として誕生しました。これから『第二の100年』に向け、より一層の発展を願います」と挨拶されたとありました。
「ムスリムとつながる静岡ハラール交流会」という記事が、2018年3月4日の朝刊にありました。静岡県立大学グローバル地域センターと県の共催で、飲食店などの食ビジネス関係者らを対象とした交流会が草薙キャンパスで開催されるというものです。豚肉やアルコールを摂取しないだけでなく、ムスリムの食事規定である「ハラール」に配慮した飲食店の増加、食品開発を促進して、ビジネスチャンス拡大をはかることが目的です。多様性を尊重する国際化のためにたいへん重要なことであります。
2015年10月5日には、社説で「県大シンクタンク -地域に研究成果還元を」という記事がありました。県立大学の付属機関として2012年に創設されたシンクタンクである「グローバル地域センター」が3周年を迎えた機会に、研究成果を県民に浸透させ、蓄積した知見を政策提言や企業への助言に活かして、地域に還元すべきだという主張でした。その後、例えば、同センターのイスラム社会研究の成果が、さきほど述べたようにハラール関連の行事に発展しているのです。
また同センターでは2016年4月に「地震予知部門」を開設しています。今後起こるであろう火山噴火、洪水、地震、津波などの自然災害に関連しても、大いにこのセンターで研究活動を進めて、静岡県民に正確な研究の成果を開示し、防災の知識を浸透させていきます。さらに、いずれは富士山を拠点とする地球全体の観測拠点にまで成長してほしいと私は期待しています。
今日ご卒業の皆さまは、今後とも、今まで以上に、心身の健康に留意され、学習した成果を磨き上げながら、社会のさまざまな場面で活躍していただきたいと願っています。皆さん方が卒業された後にも、この静岡県立大学はさまざまな分野で発展して行きます。世界の各地で活躍しながら、この大学の未来に、時々は目を向けていただくようにお願いして、今日の修了、卒業式のお祝いの言葉といたします。
おめでとうございます。ありがとうございました。
(2019年3月20日)
公立大学法人の役員、列席の足球365比分_365体育投注-直播*官网、副足球365比分_365体育投注-直播*官网、学部長、教職員とともに、皆さんのご卒業を心からお祝いいたします。あわせてご家族の皆様にも、こころからお慶び申し上げます。
多くの方たちが、栄養士、教員、保育士、環境計量士などの免許を取得され、全員に近い方々が就職先を決め、あるいは進学先を決められています。また、薬剤師、管理栄養士、看護師、保健師、助産師、歯科衛生士、介護福祉士の国家試験受験資格を獲得されています。
現在までに、静岡県立大学を卒業した方たちは世界の各地で、また日本の各地で活躍しておられます。皆さんも、その卒業生に仲間入りをして、これからはこの大学を母校として、後輩の成長も見守っていただきたいと願っています。同時に皆さんのこの母校は、また母港でもあります。ときには世界の航海から修理のために帰港する母港でもあってほしいと思います。
これからの社会は生涯学習の時代を迎えます。AIが発達して多くの仕事は機械が上手にこなしますが、人でなければできない仕事がいつになっても必ず存在します。その社会の変革に対応するためには、この生涯学習の仕組みが重要な役割を果たします。そのための母港でもあるのです。母港ではいつでも、皆さんの帰港を待って、生涯学習に対応できるように、これからも仕組みを整えて行きたいと思っています。
皆さんの中には近い将来、看護師、薬剤師、管理栄養士などとして医療関係で働く方がたくさんおられます。そこで、私は自分自身の最近の経験をお話ししたいと思います。今年2月4日、私は京都大学病院の消化管外科に入院して、鼠径ヘルニアの手術を、へそからカメラを入れ、その両側の穴からマジックハンドで手術するという体験をしました。全身麻酔で手術中の3時間半は意識なしですが、その前後にはさまざまなことを観察し学習しました。4日間で退院して次の日には東京へ出張して講演をするということが可能でした。また、退院後体重が増えて、しだいに心房細動が激しくなり、ついには3月8日、早朝に救急外来から入院して、心不全の治療をするという体験をしました。病院の中を行き来し、さまざまな仕事の人たちと話していて、デザインの重要性を認識することがたくさんありました。病院内の殺風景な景観を体験して、ホスピタルアートの重要性をつくづく感じる機会を持つことができました。
この県立大学には、まだホスピタルアートの考え方が浸透していないように思います。これから、このような新しい分野も、取り入れて行きたいと思っています。今日卒業して病院で仕事する皆さん方も、その仕事の中で、常に患者を観察し、患者のためにどうすべきかということを考え、提案してほしいと思います。
卒業式の機会に、静岡新聞の記事から、皆さんが入学してからの4年間のニュースを、「静岡県立大学」のキーワードで検索してみました。
「県立大学薬学部発祥地に記念碑」という薬学部100周年の記念碑の除幕式の記事が、2017年3月17日の朝刊にありました。葵区鷹匠3丁目の歩道にこの薬学部創設100周年記念碑が完成して、その除幕式が行われたというものです。鬼頭宏足球365比分_365体育投注-直播*官网は「静岡女子薬学校は、女子の高等教育が一般的でなかった当時に、最先端の知識を伝える場として誕生しました。これから『第二の100年』に向け、より一層の発展を願います」と挨拶されたとありました。
「ムスリムとつながる静岡ハラール交流会」という記事が、2018年3月4日の朝刊にありました。静岡県立大学グローバル地域センターと県の共催で、飲食店などの食ビジネス関係者らを対象とした交流会が草薙キャンパスで開催されるというものです。豚肉やアルコールを摂取しないだけでなく、ムスリムの食事規定である「ハラール」に配慮した飲食店の増加、食品開発を促進して、ビジネスチャンス拡大をはかることが目的です。多様性を尊重する国際化のためにたいへん重要なことであります。
2015年10月5日には、社説で「県大シンクタンク -地域に研究成果還元を」という記事がありました。県立大学の付属機関として2012年に創設されたシンクタンクである「グローバル地域センター」が3周年を迎えた機会に、研究成果を県民に浸透させ、蓄積した知見を政策提言や企業への助言に活かして、地域に還元すべきだという主張でした。その後、例えば、同センターのイスラム社会研究の成果が、さきほど述べたようにハラール関連の行事に発展しているのです。
また同センターでは2016年4月に「地震予知部門」を開設しています。今後起こるであろう火山噴火、洪水、地震、津波などの自然災害に関連しても、大いにこのセンターで研究活動を進めて、静岡県民に正確な研究の成果を開示し、防災の知識を浸透させていきます。さらに、いずれは富士山を拠点とする地球全体の観測拠点にまで成長してほしいと私は期待しています。
今日ご卒業の皆さまは、今後とも、今まで以上に、心身の健康に留意され、学習した成果を磨き上げながら、社会のさまざまな場面で活躍していただきたいと願っています。皆さん方が卒業された後にも、この静岡県立大学はさまざまな分野で発展して行きます。世界の各地で活躍しながら、この大学の未来に、時々は目を向けていただくようにお願いして、今日の修了、卒業式のお祝いの言葉といたします。
おめでとうございます。ありがとうございました。
(2019年3月20日)