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測位衛星データに機械学習技術を適用し初期の津波の可視化に成功


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University College London/Alan Turing Instituteの金井龍一客員研究員、Serge Guilllas教授、Alan Smith教授および本学グローバル地域センターの鴨川仁特任准教授と東海大学海洋研究所の長尾年恭客員教授で構成される日英共同グループは、GPSなどの衛星データに機械学習を適用させ、早期津波予測の精度向上に大きく寄与する初期の津波形状を可視化することに成功しました。

宇宙空間となる高度300 kmの電離圏では、津波によって”津波電離圏ホール”とよばれる現象が津波発生領域直上に発生します(図1)。津波電離圏ホールとは、大地震による津波がインフラソニック波(可聴でない超低周波の音波)を引き起こし、それが大気圏および電離圏中を伝搬した結果、津波の初期波源上の電離圏の電子が消失する事象を指します。国土地理院が設置した日本全土1,200点ある測位衛星受信局のデータを用い、機械学習でノイズ除去やデータ点間の補間などを行い、津波電離圏ホールの形状を捉えることに成功しました。そのデータを用いて、早期津波予測の精度向上に大きく貢献する津波の初期波源の形状を推定しました(図2)。

本研究における機械学習を用いたデータ解析では、測位衛星受信点が1,200点のうち仮に5%しかなくとも、1,200点すべての受信点を用いた場合と同じ結果を得ることができました。このことから、今後は測位衛星の受信点が日本ほど多くない他国においても本手法を適用することで初期の津波を可視化できると期待されています。

発表論文

掲載誌:「Natural Hazards and Earth System Sciences」
タイトル:Robust uncertainty quantification of the volume of tsunami ionospheric holes for the 2011 Tohoku-Oki earthquake: towards low-cost satellite-based tsunami warning systems

著者
  • Ryuichi KANAI (金井龍一) (University College London 大学院生 / Alan Turing Institute 客員研究員)
  • Serge Guillas (University College London 教授 / Alan Turing Institute フェロー?グループリーダー)
  • Alan Smith (University College London 教授)
  • 鴨川 仁(静岡県立大学グローバル地域センター 特任准教授 / 認定NPO 法人富士山測候所を活用する会 専務理事?事務局長)
  • 長尾年恭(東海大学海洋研究所客員教授 / IUGG Inter-Association "EMSEV" Chair)
DOI:https://doi.org/10.5194/nhess-22-849-2022
URL:https://nhess.copernicus.org/articles/22/849/2022/nhess-22-849-2022.html
オンラインによる論文公開日:2022年3月15日

図1:津波電離圏ホールの発生と測位衛星?受信機による測定の概念図。

図2:2011年東北地方太平洋沖地震における津波電離圏ホールと津波の初期波源の重なり。青色で示された領域が従来の津波研究手法による事後算出した初期の津波波源の領域。赤色は、地震発生22分後の津波電離圏ホール(論文の図より引用)。

詳細は、以下のプレスリリースをご覧ください。

お問い合わせ

〒420-0839 静岡県静岡市葵区鷹匠 3-6-1 もくせい会館 2 階
静岡県立大学グローバル地域センター
電話: 054-245-5600
E-mail: glc@u-shizuoka-ken.ac.jp

(2022年5月20日)

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