経営情報学部の上野雄史研究室では、専門家からは「AIを活用し共生していく」と考えられているにも関わらず、世間では「AIに完全に代替される」と誤解されがちな“会計専門職”の正しい理解の促進と専門職の魅力を再認識してもらうべく、定期的に『会計専門職の魅力を伝える会』を開催しています。今回は6月末から7月上旬にかけ、セブンセンス税理士法人、EY新日本有限責任監査法人(浜松?静岡事務所)、デロイト トーマツ税理士法人(静岡事務所)、有限責任監査法人トーマツ(静岡事務所)の4団体と連続講座を実施し、経営情報学部の学生が参加しました。セブンセンス、監査法人トーマツには同学部の卒業生が就職していることもあり、卒業生を招き、学生たちとの講話の機会も設けました。
以下、上野教授から解説です。
会計専門職は、公認会計士、税理士、ならびにそれを支えるスタッフ(税理士の科目合格者、公認会計士の短答式合格者、受験予定者も含む)によって構成されています。税理士法人、監査法人によってスタッフの構成は異なります。最近では、税理士法人や監査法人の業務の範囲が拡大したこともあり、会計専門職者以外のスタッフ、例えばデータサイエンス分野に強い人、年金数理人、一般事業会社出身者など、多様なスタッフを雇用するようになっています。
公認会計士は、監査業務として主に上場企業に対する財務諸表の保証業務を行うのに対し、税理士は、企業、団体、個人の依頼に応じて各種税務書類の作成、申告の代理を行います。公認会計士と税理士で役割は異なりますが、大きな共通点は、大学でも学ぶ「会計学」「簿記」の高度な技能と理論の修得、そして職業倫理が求められていることにあります。
公認会計士の監査業務では、財務諸表が適正な会計処理で行われているかをチェックし、その意見表明をしなければなりません。財務諸表の作成の責任は経営者が負っています。利害関係のない外部監査人である公認会計士は、その経営者が行った会計手続きに瑕疵等があれば、忖度なく意見を言うことが求められています。最近の監査法人では、アドバイザリー(コンサルティング)業務も拡大しており、そのスキルを活かして、地方創生、起業支援も展開しています。また大手の監査法人は、海外の法人とも連携しているため、希望すれば海外に行く機会も得られるのが魅力です。
税理士は税務のスペシャリストとして、クライアント(依頼人)の税務相談を受けなければなりません。税務は、法人税、所得税、相続税といった3大領域から、消費税、贈与税、固定資産税、酒税などもあり、多岐に渡ります。そのため、税理士が全ての領域を完全にカバーすることは難しく、いずれかの領域のスペシャリストになることが多いです。当然、脱税行為をすることは許されません。そのため、クライアントに適切な税務申告を遵守させつつ、その要望に応える調整能力が問われています。税理士は、クライアントにより密接に関わる機会が多く、人の支援を行っている実感を得やすいのが魅力です。
今回は、各法人の業務範囲について語っていただくだけでなく、その試験制度、勉強方法についてもご教示いただきました。難関と言われている試験ですが、前もって準備をすれば短期間での合格も難しくないことを知ることが出来ました。卒業生の講話の中では、資格勉強だけでなく、大学で学ぶことの重要性についても強調されていました。「学生時代でしか出来ない事をするのも、大事なこと」「経営情報学部で学んだことは今の仕事にも全て活かされている」「大学時代に色々な経験をしておくのが大事」という言葉をいただきました。
この会に参加した学生からは、以下のような感想がありました(抜粋)。
今回の連続講座は想像していた以上に学生たちからの反響が大きく、非常に有意義な機会となりました。上野研究室は、引き続き会計専門職の魅力を伝える啓発活動を行っていきます。
以下、上野教授から解説です。
会計専門職は、公認会計士、税理士、ならびにそれを支えるスタッフ(税理士の科目合格者、公認会計士の短答式合格者、受験予定者も含む)によって構成されています。税理士法人、監査法人によってスタッフの構成は異なります。最近では、税理士法人や監査法人の業務の範囲が拡大したこともあり、会計専門職者以外のスタッフ、例えばデータサイエンス分野に強い人、年金数理人、一般事業会社出身者など、多様なスタッフを雇用するようになっています。
公認会計士は、監査業務として主に上場企業に対する財務諸表の保証業務を行うのに対し、税理士は、企業、団体、個人の依頼に応じて各種税務書類の作成、申告の代理を行います。公認会計士と税理士で役割は異なりますが、大きな共通点は、大学でも学ぶ「会計学」「簿記」の高度な技能と理論の修得、そして職業倫理が求められていることにあります。
公認会計士の監査業務では、財務諸表が適正な会計処理で行われているかをチェックし、その意見表明をしなければなりません。財務諸表の作成の責任は経営者が負っています。利害関係のない外部監査人である公認会計士は、その経営者が行った会計手続きに瑕疵等があれば、忖度なく意見を言うことが求められています。最近の監査法人では、アドバイザリー(コンサルティング)業務も拡大しており、そのスキルを活かして、地方創生、起業支援も展開しています。また大手の監査法人は、海外の法人とも連携しているため、希望すれば海外に行く機会も得られるのが魅力です。
税理士は税務のスペシャリストとして、クライアント(依頼人)の税務相談を受けなければなりません。税務は、法人税、所得税、相続税といった3大領域から、消費税、贈与税、固定資産税、酒税などもあり、多岐に渡ります。そのため、税理士が全ての領域を完全にカバーすることは難しく、いずれかの領域のスペシャリストになることが多いです。当然、脱税行為をすることは許されません。そのため、クライアントに適切な税務申告を遵守させつつ、その要望に応える調整能力が問われています。税理士は、クライアントにより密接に関わる機会が多く、人の支援を行っている実感を得やすいのが魅力です。
今回は、各法人の業務範囲について語っていただくだけでなく、その試験制度、勉強方法についてもご教示いただきました。難関と言われている試験ですが、前もって準備をすれば短期間での合格も難しくないことを知ることが出来ました。卒業生の講話の中では、資格勉強だけでなく、大学で学ぶことの重要性についても強調されていました。「学生時代でしか出来ない事をするのも、大事なこと」「経営情報学部で学んだことは今の仕事にも全て活かされている」「大学時代に色々な経験をしておくのが大事」という言葉をいただきました。
この会に参加した学生からは、以下のような感想がありました(抜粋)。
- 監査法人?税理士法人の両方のお話を聞くことができて、それぞれの仕事の内容だけでなく、2法人のメリットや魅力を知ることができました。資格の勉強の話をたくさん聞くことができました。勉強が停滞したときのモチベーションの保ち方などは専門職の勉強に限らず参考にさせていただきたいと思いました。
- 税理士や公認会計士の方々のお話を通じて、10年にもわたる長いスパンの受験勉強や、在学中の両立を通じての努力のレベルを知ることができました。2年生後期までの間、先輩と同じように1級にチャレンジしたいと思います。
- 会計事務所のスタッフ構成や業務内容について聞き、同じ会計事務所と言っても違いがあることを感じました。自分はどのような会社で働きたいのか、少しずつ考えていきたいと思いました。
- 公認会計士の海外駐在のことや、勉強のこと、モチベーションのことも聞けて、参考になりました。公認会計士になった後のことを具体的にイメージしながら勉強していこうと思いました。
今回の連続講座は想像していた以上に学生たちからの反響が大きく、非常に有意義な機会となりました。上野研究室は、引き続き会計専門職の魅力を伝える啓発活動を行っていきます。
セブンセンス税理士法人との座談会の様子
デロイト トーマツ税理法人との座談会で相談をする学生
公認会計士の仕事と魅力についての説明(EY新日本との座談会にて)